
【2023年9月3日更新】
先日、私が購入したau版 Galaxy S21 (SCG09)をAndroid 12 にアップデートしたところ、「AppCloud」がプリインストールされたことに気がつきました。
AppCloudとは、イスラエル・ironSource社のアプリ収益化プラットフォームのことです。別名、Auraとも呼ばれています。
サードアプリ製作者は、このプラットフォームを利用することでユーザにアプリのインストールを促すことができます。またユーザーの行動や、プレイ時間などのデータを取得して、アプリ内部の動きについての知見を得られます。
このAppCloudのせいで、私のGalaxy S21には不要なアプリがどんどん溜まっていっています。
このAppCloudは、Android 12 にアップデートしたau版 Galaxy S10 やau版 AQUOS sense5Gにもプリインされているそうです。
また、2023年9月1日に発売された au版 Galaxy Z Fold5 SCG22、au版 Galaxy Z Flip5 SCG23 にもAppCloudがプリインストールされていることを確認しました。

本記事では、Samsung GalaxyをはじめとしたAndroidスマートフォンにプリインストールされている AppCloud を停止したり、アンインストールしたりする方法についてご紹介します。
本記事ではまずAppCloudについて解説していますが、そんなことよりも、AppCloudを止める方法をすぐに知りたい方はこちらをタップしてください。
目次
ironSource社の「AppCloud」はどのような動作をするのか
AppCloudの具体的な動作は次のようなものです。
au 版 Galaxy S21 (SCG09)の設定を終了した瞬間に、AppCloudが立ち上がります。

ここでホームに戻ることはできません。
初期設定終了直後は、サードアプリ製作者にとってアプリをインストールしてもらえる良いチャンスと言えるでしょう。
このAppCloudの画面は、どこの会社のアプリかわからないよう匿名的にデザインされています。
画面左上に「規約」という、薄い灰色の文字ボタンがありますが、この利用規約を読んでやっとironSource社のアプリだとわかります。
「続行」をタップすると、性別や年齢層といったの詳細情報を要求してきます。

次へをタップすると、AppCloudがアプリをおすすめしてきます。
インストールを押すとダウンロードが開始します。この画面もどことなく匿名的です。
先ほどお薦めされたアプリがどんどんインストールされていきます。
何も考えずにぽちぽちやっていると、AppCloudによってこうなってしまいます。

Google アカウントも、Samsung アカウントも入れていないのに、私のGalaxy S21には勝手にアプリがインストールされました。
このアプリをインストールしたのは、Google PlayでもGalaxy Storeでもありません。これらアプリは一体どこからやってきたのでしょうか。
AppCloudをサムスンに聞いてみた
この奇妙なAppCloudについて、サムスンのサポートに問い合わせてみました。
すると、このAppCloudについて詳細な情報が得られました。
AppCloudは「正常」だと。それは仕様ではそうでしょう。
しかし、AppCloudはバックグラウンドで動作し、バッテリーを無駄に消費します。
メーカーにとっては「正常」であり「仕様」であっても、ユーザにとってはとても正常とは呼べない代物です。こんなものを押し付けるのはやめていただきたいです。
以下、AppCloud を停止したり、アンインストールしたりする方法について述べます。
AppCloudを無効にする方法
AppCloudがプリインストールされているGalaxyスマートフォンをお使いの皆様に対して、AppCloudが通知をしたり、ユーザのデータを送信したりするのを止める方法について解説します。
ステップ1:「準備完了」という表示されるまで、Galaxyスマートフォンを通常通りセットアップします。
ステップ2:次の画面ではAppCloudが「あなたにぴったりのアプリをおすすめ」という表示を出します。
ここで、[続行] を押さないでください。画面右上に薄く書かれた [スキップ] をタップします。
ステップ3:「おすすめをスキップ」という表示が出たら [はい]をタップします。
Galaxyの設定が完了します。
設定>アプリからシステムアプリを表示します。
虫眼鏡アイコンから「AppCloud」を検索して、無効を押します。
これで無効化できました。
AppCloudをアンインストールする方法
AppCloud自体を、無効ではなくアンインストールしてもOKです。
アンインストールには adb shell を利用します。この操作にはMacやPCが必要になります。
*adbについては本記事では紹介しません。あしからずご了承ください。
シェル内での構文は次のようになります。
adb shell pm uninstall --user 0 com.aura.oobe.samsung.gl
これで、AppCloudをGalaxyスマートフォンからアンインストールできます。
*他メーカーでは、AppCloudは異なるパッケージ名かもしれません。aura とかoobe とかで検索すれば引っ掛かります。
なおアプリ名の oobeとは「Out-Of-Box Experience」のこと。製品の購入後、箱から出して使用可能にするまでの一連の手順を指します。また、その際に表示・操作する初期設定のための画面のことで、AppCloudの挙動に合致します。
ironSourceとサムスンのパートナーシップ
ironSourceを利用すると、サードのアプリ製作者はユーザの属性に応じたアプリを提案し、顧客を獲得することができます。
サードアプリ製作者にとっては良い話のように思われます。
サムスンは、ironSourceとのパートナーシップをより強固なものにしつつあります。

*ironSourceは、アプリ開発者に対して、AppCloudと提携して自社のアプリが最初にインストールされるようにしないかと呼びかけています。
これまでサムスンはAppCloudをGalaxy スマートフォンにインストールしてきましたが、低価格・中価格のGalaxyが対象でした。
今回、高価格の国内版Galaxyスマートフォン、特にZ Fold 5や Z Flip 5にさえAppCloudが搭載されたことを知り、私は少なからず驚いております。
なお、ゲームエンジン「Unity」を手掛ける米Unity Softwareは2022年、このイスラエルのアプリ収益化企業ironSourceと合併を完了しました。UnityがAdWare企業になったことは覚えておいて良いでしょう。
最後に
以上、 AppCloud を停止したり、アンインストールしたりする方法について述べました。
au 版 Galaxy S21 (SCG09) をAndroid 12 にアップデートすると、AppCloudが強制的にプリインストールされます。まるでセキュリティアップデートと引き換えにアドウェアをユーザにこっそりインストールするようなモノです。
AppCloudは、ユーザに不要なアプリを押し付け、バックグラウンドで動いてユーザの行動を監視します。
AppCloudは、本当にどうしようもないストーカーアプリです。不快で気持ち悪いこと、この上ないです。
KDDI様提供のプリインアプリ「App Cloud」が端末初期設定の中でアプリをインストールする流れがあるようです。
お客様へのおすすめアプリが表示され、デフォルトで複数のアプリが選択された状態になっており、画面を進めるため「インストール」を押すとそれらアプリがインストールされます。— FCNT株式会社 (@FCNT_Ltd) April 26, 2022
Samsungは、Galaxy体験を台無しにするようなAppCloudの搭載は直ちに停止されるやめるべきです。
アプリをユーザに使わせて小金を稼ごうとするサムスンの姿勢を見るのは残念です。私はAppCloudが仕込まれた Androidスマートフォンを二度と買うつもりはありません。
私は Galaxy S21 を売ってしまいました。現在はドコモのS22を使っています。こちらはAppCloudのプリインストールはありませんので、快適至極です。
もしお使いのGalaxyでAppCloudが入っていたら、このページの情報に従って、停止や削除をしてください。快適になります。
さらに知りたい方は、以下の当サイトの記事をご参照ください。